「オケ老人!」/ネタバレ無、映画レビュー感想
監督、脚本:細川徹
原作:荒木源
2016年、日本、119分
配給:ファントム・フィルム
*ざっくりあらすじ
ひょんなことから老人ばかりのアマチュアオーケストラに入ってしまった高校教師、千鶴。単独コンサートを目指し、彼女率いる高齢オーケストラの奮闘と成長を描く。
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好きなことを始めるのに遅いことはない
杏さん、初主演映画!生徒や高齢の方に教える先生役がとても似合っていました。また、アマチュアオーケストラ集団のメンバーも錚々たる顔ぶれ。失礼ですが、この御年で本当に楽器が弾けるのか...と思いましたが、どんどん上手くなる過程に驚くとともに、年齢なんてほんと関係ないんだなと思わせる俳優さんのプロ意識に感動しました。
このアマチュアオーケストラ集団”梅響”のモデルとなったアマチュアオーケストラが存在しています。そこに所属している方の最高齢が87歳!ビオラを弾かれている姿がとてもかっこよかったです。それと同時に、20代、30代、40代....でやりたいことを躊躇しているのが少し恥ずかしくもなりました。何かをやりたい!始めたい!と思った時、いろんな障害を考えることは誰しもそうだと思います。しかし、そこで勇気を持って踏み出した先に待っている新しい出会いが、人生をより豊かなものにしてくれるのだと感じました。
目標に向かって一生懸命な人たちは、見ている人を感動させます。すました顔ではなく泥臭く決して諦めない姿、そこにちらりと練習しすぎた跡が見えた時に思わず目頭が熱くなりました。
アマチュアの在り方
劇中では、"梅フィル"というアマチュアオーケストラが梅響と敵対します。梅フィルはレベルの高い集団ですがとっても厳しい。厳しい環境ですが、プロ顔負けの集団。高いレベルが求められることは時に自分を成長させてくれ、時に苦しくもなります。
どんな環境に身を置くかは自分次第です。ですが、辛い環境に我慢して居続け好きなものがだんだん好きで無くなることは、何よりも悲しいなと感じました。たかがアマチュア、されどアマチュア……アマの多様性、難しいです。
歴史は繰り返さない
ラブロマンスも少々あります!杏さんもあるのですが、黒島結菜さんの高校生カップルはとてもキュンキュンしましたし、爽やかすぎて心から浄化されました…
しかしこのカップル、互いの親世代が犬猿の仲。自分たちには何の関係もないのに振り回されてしまいます。代々受け継がれた親同士の争いは、全く身に覚えのない次世代に引き継ぐ必要はないのに!ともやもやする場面も。過去のしがらみを精算して関係修復をすることが大切なことも教えてくれました。
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高齢の方ばかりでどうしても死を連想させる出来事(そんなに重くはありませんが)や死ネタのブラックジョークが出てくるので、死を連想する映画が苦手な方はオススメしません。
これぞ、THE笑って泣ける映画!どこかで聞いたことあるような有名なクラシックばかりなので、老若男女楽しめると思います。見た後は自分の中に閉じ込めていたやりたいこと、好きなこと、、、やっぱりやりたい!!と思わずにはいられない映画です。
ストーリー:★★★
音楽:★★★★★
ラブロマンス:★
コメディ:★★★★
死を連想させる:★★★★
バイオレンス、ホラー、アクション:0
(5点満点)
~オススメ場面~
何かを始めたいとき、笑って泣きたいとき。