「溺れるナイフ」/ネタバレ無、映画レビュー感想
監督:山戸結希
原作:ジョージ朝倉
脚本:井土紀州、山戸結希
製作:依田巽
2016年、日本、111分
配給:ギャガ
*ざっくりあらすじ
親の都合で田舎に越してきた元モデルの夏芽。なにもない田舎で航一郎(コウ)と出会い、退屈な毎日が一変する。
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私が欲しているのは、体を貫く目映い閃光だけなのだ
原作は見ていません。ラストシーンにかけて急にギアが上がったようなスピード感で駆け抜けるので、原作を読んで詳細なストーリーを知りたくなりました。
ということで予備知識無しで観たのですが、THE胸キュン恋愛映画ではありませんでした。田舎という閉鎖的な場所で、未熟だけど強烈な何かに惹かれ、高揚し、傷つき、葛藤し、胸に抱き続ける、、。今思えば子供だったなーと思うことも、当時の本人達にしてみれば苦しくなるほど必死に生きもがいていた、その姿が丁寧に描かれてます。
山戸祐希監督の撮る映像は涙が出るほど美しいです。田舎の緑や海のシーンが多いのですが、とにかく綺麗!赤もただの赤色ではなく椿色、青色も群青色...といったように思わず名前で表したくなるような色がとても魅力的でした。個々の色がぱきっとして濃いのだけど目立つわけではなく、色が綺麗に映えているなぁとも思いました。また、特徴的な長回しや、引きで撮るシーンも印象的でした。引きのシーンでは、夏芽とコウの物理的距離が心の距離を表しているのかなと思うシーンもあり興味深かったです。
青春って脆くて繊細
地元の神主一族の跡取り息子の航一郞(コウ)。特別扱いが許されているからか、彼はやりたい放題。そんな彼を夏芽は捕まえようするが捕まえられない。
映画を観ていると、コウは止まっているシーンがほぼないなと感じました。とにかく歩いたり、走ったり、バイクに乗ったり、祭りの伝統演舞を踊っています。まるでふわふわ風のように、時には波打つ海のように。ただただ落ち着かなくて不安定な印象。今にもいなくなってしまいそうな雰囲気に、夏芽は共鳴し、またコウも夏芽から同じ空気を感じていたんだと思います。
夏芽とコウは何度か海に落ちるのですが、そのシーンごとに二人の関係性が表されています。溺れるんじゃないかと思うほどハラハラな場面もありましたが、それが今の二人の状況なのかなと思ったり。
カナちゃんと大友
夏芽とコウの同級生として登場する大友(重岡大毅)とカナちゃん(上白石萌音)。いかにも田舎っ子!な二人が、夏目とコウのどこか浮き世離れした二人と観客を繋いでるように感じました。田舎育ちの私にとって、二人がとてもリアルに感じられました!カナちゃんの中学生から高校生への変化はものすごく生々しかったです。笑 大友はクラスの人気者感がすごかった、、、いうなら、ちびまる子ちゃんの大野君!私の友人皆惚れたと言っていました← いつも明るくて面白くてはきはきしてるし、夏芽のような馴染めてない子にも声をかける。そこに方言補正もかかればそりゃ惚れますよ。(原作の大友とは違っていたらごめんなさい...)大友君に愛された女性は幸せだろうな~(遠い目)
音楽もとても良かったです。個人的にサントラの「コウを追いかけて」がすごく好きです。弾きたいけど楽譜が探せない...orz
夏芽が襲われるシーンがあるので、苦手な方はご注意下さい。
ストーリー:★★★
音楽:★★★★
映像:★★★★★
ラブロマンス:★★★★
バイオレンス:★
コメディ、ホラー、アクション:0
(5点満点)
~オススメ場面~
15歳に感じた全ての感情を詰め込んだ青春映画をみたいとき。